時々皆様からご質問をいただくのが、お着物、その他ご参拝の際のマナーについてです。
一例として例えば、お着物については、本当に様々な意見があって、いつもどのようにお答えしたらよいのか、、、、
日本人みんなが着物で過ごしていた時代。日本全国で統一されたルールが決まっていて、国民全員が守っていた!!というわけではなかったんだそうです。そうですよね、今のように、snsやインターネットがある時代ではないですから、、、
私の手持ちのアンティーク着物には、撫子柄の袷の着物があります。
撫子と言えば8月下旬から9月上旬と言われていますが、袷仕立てなんです。矛盾してますが、そのお着物を着ていた方も、好きだからいつだって撫子柄を着たい、と思ったんじゃないかと思います。
1.この着物を着て神社に行ったら失礼なのではないですか?(例:9月に絽の着物を着ていたら変ですか?)
2.七五三、お宮参りなのに着物を着ていなくても大丈夫ですか?
3.海外在住や、ママが妊娠中だったなどで夏に七五三になりますが、大丈夫でしょうか?
いろいろと配慮される方もいらっしゃると思いますが、実は、いろいろな場合があるんです。1.2.3.いずれも、そういう方もたくさんいらっしゃることばかりです。
とはいえ、お参りのその日に出会うご家族は数組程度。その中に同じような方がいらっしゃるかはわからないですし、、、気になるようでしたら、気になる可能性を排除していただくのが良いとは思います。
例えばある時神社に行くと、たまたま洋服で七五三にいらしている方がとても多い日もあれば、みんな着物の日もあったり、季節を意識したお着物をお召しの方が多い日もあれば、もっと自由な発想のお着物をお召しの方が多かったり。
ご家族様がお参りされる時にご一緒する皆様がどんな雰囲気かによっても、
「やっぱりみんな着物で来るものだったんじゃない?」
とか、逆に
「みんなお洋服だったね、真夏※だから、やっぱりうちもお洋服にしてあげればよかったね」(※ママが妊娠中だったり、一時帰国中だったりとで、真夏でも七五三はあります。)
という風に思ってしまったりもするかもしれません。逆に、ほかの方の装いをご覧になり、
「秋だから〇〇のデザインの着物に決めたけれど、やっぱり私が大好きな桜柄のお着物にしてあげたらよかったかな」
と思うかもしれません。
お寺の僧侶の方や神社の神職の方が参拝者の方のお召し物の季節感や細かい装飾を気にしていらっしゃるという場面に出会ったことがありません。
ただし、裸足でのご昇殿、または、小さなお子様などがお草履を脱いで足袋でお外を歩いてしまった場合にはそのままのご昇殿、(多少の季節感ではなく)神社仏閣の尊厳を傷つけるようなお衣装や言動、建物を傷めるようなこと、周りの方に対する配慮を欠いた言動はご遠慮いただきたいそうです。また、ご祈祷などを受けずに、撮影だけをして帰る、ということも、基本的にNGとなっております。
神社仏閣の方もいつもご覧になる中、(私も、沢山の皆様のお祝いに同行させていただいていますが、そんな中でも)必ずしも皆様が〇〇ではない、など、挙げればきりがないことを経験的に知っているからだと思います。
というかむしろお着物について気になって声をかけて来られるのは、通りすがりの方だったりします。俗にいう、〇〇警察的な、、、
いままでネットで見たことあるものも含めて、見たこと、聞いたことのある言葉ですが、、
あなたの身長ではこんな着物を着たら恥ずかしい。
今はこんな着物が流行っているけれども本来は、、、、
衣紋の抜きは〇センチが適切(その方が習ったやり方なんだと思います。)
袖の長さは49㎝以外はおかしい(大正時代は留袖だってもっともっと長かったし、当時だって着物によっても違うので、49㎝って最近誰かが決めただけなので、、)
三が日も終わったのに、そんな着物を着ているのは、望ましくないよ(と、見知らぬ方に声をかけられましたが、気にしないことにしました。)
桜の時期に桜の着物を着ていると、桜とけんかしてしまいそうで失礼じゃないですか?(その逆で、桜の時期じゃないのに桜の着物を着たらおかしいも経験ありまして、、何をやっても文句言われるんだなぁと思いました。)
知らない方とは言え、何か言われると悲しい気持ちになってしまうかも、と思われる場合もあるかもしれませんが、、、なんだかんだ、そういうことは、その真逆に考える方もいるかもしれないようなことばかりです。
本当に、着物って難しいですから、たまたま出会ってしまった知らない方に言われたことや、たまたまウェブページに書いてあったことを鵜呑みにする必要はありません。知らないから教えてあげようという気持ちで境内で、もしくはお写真をご覧になって何かコメントする方は、ほとんどの場合、今は様々な考えのあるようなことばかりです。(育児でもありませんか?粉ミルクと液体ミルク、や、抱っことおんぶのようないろいろなケースがあるようなことについて街でご教示いただくこと。それと同じようなことが着物でもあるんですね。)
ですが、今ものすごく厄介なのは、「突然こんな風に言われたけど、、こういうマナーってあるのかな?」と検索ワードを入れると、だいたい、そういう意見を見つけることが出来るので、「やっぱりそういうマナーもあるのかもしれない、、」と調べれば調べるほど訳が分からなくなるんですよね。けれどもその反対のことが書かれたものも、普通に存在していたりします。私としては、着物警察の方々にも総意や条文があるわけではないようなので、着物警察さん同士でご意見が違うのだとしたら、あまり聞いておく必要もないのかなぁと思います。聞いているうちにわけが分からなくなるだけなので笑
育児をしているご家族なら、お子様とお出かけした時に、出会った皆様から
「可愛いわねー」
というお声をたくさんいただくと思います。神社のお参りの時も99%がそうです。けれどもたまに、
「今はみんな抱っこしちゃうけど、本当はおんぶのほうがいいのよ」
的な、、(さすがに今は、おんぶが本当はいいって、言われなくなりましたかね?うちの子たちが小さいころに、何度もいただいたアドバイスなんですが笑)
このように、
「本当は〇〇」
というアドバイスをいただいたことってありませんか?
ほとんどのケースでは、着物についてもそういうこと、だと思います。
昔、おんぶのほうがいい、と言われた時代もあったんだなぁ、くらいのことなのです。
もちろん、育児についても様々な意見があり、どちらが良いか、どうしたら良いか、ご家族様と相談することはあると思います。そういったご意見はとても大切だと思います。
けれども、通りすがりの方に、そう言われたからといって、後から
『次からおんぶで出かけるほうがいいかな?』
なんて思わないですよね?
それに、次におんぶで出かけたら
「おんぶより抱っこのほうがお顔が見えて安心よ」
とまた別の誰かに言われそうです。
お着物についても、通りすがりの方や少し関係のある方々に、何かアドバイスをいただくかもしれないけれど、しょせんその程度のこと。だからと言って、ご自身の着たい(着せたい)着物を我慢する必要は無いんだと私は思っています。
何か言われても、
『もしかすると、そういう意見もあるのかなぁ』
くらいで、まぁ、通りすがりの方や少し関係のある方に言われたことは気にしなくてOK。
ご自身やご家族様、ご親族様のご意見を大切にしていただきたい、と思うのですが、、いかがでしょうか?
私としては、ご家族様に、好きな「お召し物※」を着てお越しいただきたいと思っています。
※七五三だから、お宮参りだから、必ずお着物を、とも思っていないので、お洋服を含めた好きなお召し物ということです。
話は一旦マナーからそれますが、時々、
〇〇神社で撮るんですが、どんなお着物が映えますか?
とご相談いただきますが、これまた、観点によって異なります。
〇〇神社は赤を基調にしているので、赤だと赤赤になってしまいますが、青系紫系だと際立って良いです!!などともお答えする場合もありつつ、、それでも赤がいいなぁって思ったら、着ていただけたら良いと思います!!
どちらもすごく素敵で、どうしても赤か紫か決めきれないなぁという時の判断材料くらいにしていただけたら!!
また別の観点からいうと、今の女の子さんはなかなか赤を着たがらないと言いますか、、、三歳くらいのうちは、ママが決めたお着物で良いですが、七歳になると、赤やピンクや嫌だなぁ、、、とお子様のお気持ちが出てくるかもしれない?と思うので、ママが赤を着せたい!というときに着せてあげたらよかったなぁなんていう観点もあります。
だからやっぱり好きなものが一番です!!
●●だから〇〇というのも、時代に寄って変わる例として、私が子供の頃は女の子のランドセルって普通に赤で、ぎりぎりピンクまで、学校に一人いるかどうか、、。水色なんて、みんながびっくりしちゃうような時代でした。時代が変われば当たり前も変わるんですね。
お着物以外のマナーについても、、時代によって、地域によって本当に違うようで、、私は2009年から出張撮影の仕事をさせていただいていますが、長く続けていくと時代が変わると言いますか、、、この仕事を始めたばかりの数年の間限定で時々お尋ねいただいたことがあります。
「お宮参りの日には、私(ママ)もご一緒に参拝しても大丈夫なんでしょうか?」
このご質問は、この10年くらいは一度も聞かれたことがありません!!
でも、出張撮影の仕事を始めたばかりの頃は時々お尋ねいただきました。
お子様を生んだばかりのママは参拝に同行せず、赤ちゃんのパパと父方の祖父母で神社に参拝する、という習慣のある地域もあったようですが、、、、今はそんなこと、マナーとかしきたりという以前にほとんど知られていませんね💦
そうなると昔はマナーとして思われていたことも今はマナーではなくなります。
通りすがりのマナー警察の方々はそれぞれ異なるご意見をお持ちのようですし、古来より?の習わしも時代時代で忘れられたりするので、通りすがりの方々から「こうすべき」「本来は〇〇」というようなことを言われても、ご家族皆様が気にしない、と思うようなことは気にしなくて良いと思います。
一番気にして、大切にしていただくべきお声は、ご家族様にとって大切な皆様、当日ご参列いただく、もしくは後日お写真をご覧いただく大切なご親族様皆様のご意見かと思います。パパママにとって大切な皆様のお声だけを拝聴していただけると良いのではないかと思います。
カメラマン側のマナーという点では、現地の撮影許可をいただいた範囲を守る、もし、具体的な撮影許可というのが明文化されていない場合にも、長い時間場所を占拠するなど、他にご参拝している方や観光でお越しになる方がお通りになる際の妨げにならない、ということは常に心がけて撮影を進めてまいります。